後藤見聞録

2020/01/20

NEWちんや 【すきやき・しゃぶしゃぶ にしやま】

昨年、たくさんの博多の人に惜しまれながら、名店の歴史がひとつ幕を閉じました。
その名は、「ちんや」。
まだまだまだまだ博多の財界では小童なので、主にランチでの利用が多く、夜、女将さんに焼いてもらうすき焼きを食べるときは必ずどこかの経営者の御仁が一緒でした。
いつか自分が下の世代を連れて、ちんやに行けるように頑張ろうと思っているうちに、ちんやは閉店してしまったんですね。

あぁ、ついに行けなかった、自分の財布で。
と思っていました。
事務所から近いので、真っ暗になったお店の前を通るたびに、勝手に淋しくなっていました。

しかし、今年に入って、「ちんやが復活した!」とのニュースがSNSであがってきまして。
「え?女将さんが『もうやりきった!』って閉店を決められたっていう話じゃなかった?誰かが継いだの?」
と謎だったのですが、周辺から聞こえてきた情報によると、ちんやでマネージャーをされていた西山さんが、後を継いでお店を復活させたそう。

店名は「すきやき・しゃぶしゃぶ にしやま」。

ということで、本日、業界仲間でも数少ない同い年4人で行って参りました。
先ほど「下の世代を連れてちんやに行けるように頑張ろう」と思っていたと書きましたが、実は私の世代、本当に少なく、そして後輩もあまりいないのです。
なんというか、ずーっと末っ子。

とはいえそんな我々も今年不惑を迎えますので、ここで奮発して、この1年頑張ろうということで、まぁ全部ただのこじつけですが、ちんやスタイルのすき焼きを堪能して参りました。
まず、廊下、お部屋の動線が変わってなくて、なんかもうそれだけで懐かしくなりました。
そしてちんやのすき焼きは、割下を使わずお砂糖とお醤油だけで味付けしてくれます。
無論、お肉は一括投入。一気に焼かれてぶわっとお砂糖に包まれて、ぐるりとお醤油に囲まれて、あっという間に卵にintoです。
あぁ、久しぶり…嬉しい…。

↑45秒くらいでちんやのすき焼きができあがりますのでどうぞご堪能くださいませ!

テーブルを担当してくれたお姉さんに色々とお話を伺ったのですが、やはりいったん閉店が決まり、皆さん完全に解散されたそうです。
その後、マネージャーだった西山さんが一念発起され、元スタッフたちに声をかけて戻ってきたメンバーで開店したとのこと。
なかにはお昼間のお仕事とのダブルワークにも関わらず、「ちんやが好きだったから」という理由で戻ってきたスタッフさんもいらっしゃるそうです。
そこには長年愛されるお店を築かれた「ちんや」はもちろんのこと、その「ちんや」をこのまま終わらせたくないと考えて動かれた現オーナーの西山さん、そして西山さんの奥様の想いがあふれていました。
「接客が好きっていうのももちろんありますけど、何よりも、ちんやが好きで、ちんやの女将さんも、西山さんも西山さんの奥様も大好きなんです!」
と口にされるスタッフさんもいらっしゃいました。

ここまで愛されるお店というのは昨日今日で育つものではないですし、小手先のブランディングでどうにかなるものでもないと思います。
そして、もう「ちんや」の「ち」の字もないのに、息づいているその魂。
その魂を引き継いだ現オーナーの、覚悟とプレッシャー。

一朝一夕ではできないことだからこそ、その重みを感じました。
代替わりが決まっていたならいざ知らず、完全に閉めたあとに復活させるとなると、そのご苦労はきっととてつもないことだったのではないかと思います。
それでも、こうして復活させてくださったこと、その意味を感じながら、ここぞというときに伺わせていただこう、と改めて思いました。
同世代も、後輩も少ないけど、今度こそは口だけでなく、どこかの社長さんのお財布任せではなく、ちゃんと「ここぞ」を築いて。
(でも連れて行って下さる社長様方からのお誘いも引き続きお待ちしております♡)