後藤見聞録

2020/01/13

命の別名~糸しか知らないあなたへ~

突然ですが、昭和歌謡をこよなく愛しています。
先日も、仕事を終えて事務所の近所で焼肉食べていて、
「あーカラオケ行きたいねぇ」
となり、カラオケボックスではなく中洲のバーで4時間歌い倒しました。

もちろんガチ下戸なのでジンジャーエール一択ですし、この日はキャナルでカメライターの仕事だったので、地べたに座って撮影しても無問題なほどに防寒しか考えていない地味な服装でしたが、そんなこと関係ない!

で、同じ時間帯にいらしていたお客様が、私が明菜連発するもんでリクエストまで頂き、非常に楽しい時間を過ごさせて頂きました。
ガチ下戸ではありますが、中洲のおじさまが喜ぶラインナップにかけては先の昭和歌謡をこよなく愛する日々の活動が本領発揮します。
必要な際はご用命頂けましたら出動致します!

そんな中、このバーのオーナーさんから
「中島みゆき歌ってよ!」
とリクエスト頂き、私が選曲したのは、「命の別名」。
本日は、この曲のことが書きたくて見聞録を開きました。

Bank Bandのカバーで一躍有名になったみゆきさんの「糸」。
有名ですよね。色んな人がカバーしてますよね。
私も友人の結婚式で歌わせてもらったりしてきました。
しかも今年は、この曲を題材にした映画「糸」が公開されるんだとか。

ですが、実はこの曲は両A面シングルの一曲でして、もう一曲は「命の別名」という曲です。
1998年の1~3月クール、TBS金10枠で放送されたドラマ「聖者の行進」の主題歌が「糸」、そして「命の別名」でした。
TBS野島伸司シリーズの4作目で、知的障碍者を題材とした「弱き者」に焦点を充てた社会的アンチテーゼの強いドラマでした。
当時高校生でしたが、毎週爆泣きしながら観ておりました。

ここで、夜会デビューすら果たしていない私が中島みゆきを語るのはおこがましいことは重々承知なのですが、どうしても言いたいことが。
「命の別名」を聞いて初めて、「糸」の真意がわかる。
と私は考えています。
「糸」は書き下ろしではないのですが、「命の別名」はこのドラマのための書き下ろしです。
そしてこの2曲が両A面として、ドラマのクール内で主題歌をスイッチさせてまで2曲起用された真意を、私は勝手にこう考えています。

「命の別名」は、弱き者の視点で見た社会への叫び、不平等で不条理な世の中にあって「それでもみんな生きているんだ」というドラマのメッセージをストレートに描いた重く激しいみゆき節。痛いくらいの叫びでありながらも、サビに向かうまでのみゆきさんの表現の刻みがとても細かい一曲です。
無邪気で無垢な心を持つ知的障碍者が、社会の様々な棘に遭い、叫びながら生きていく様が描かれているように思います。

転じて「糸」は、どんな人でも、出逢った人との関係性次第で幸せになれるのだ、という救いのメッセージ。
「縦の糸はあなた、横の糸は私」という「糸」の名フレーズからもわかる通り、みゆきさんがとある方の結婚式のために作られた曲なのですが、このドラマに起用された理由は、この曲が持つテーマの壮大さが、男女の愛を超えた人と人の物語にまで寄り添ってくれるからなのではないかと。

長くなりましたが、そんなわけで、「糸」が好きな方は、「聖者の行進」を見て「命の別名」も聞いていただけると、「糸」の持つ底力がわかってもっと感動されると思います。
以上勝手なみゆき考でした。


↑ちなみにこのアルバムに両曲収録されています。
ついでに「たかが愛」「愛情物語」を聞いて「はみだし刑事情熱系」を見るとまたみゆきさんの凄さがわかります。
特に最終回のエンディングで流れる「たかが愛」は、柴田恭兵演じる「高見兵吾」と別れた妻・根岸玲子(風吹ジュン)、娘・根岸みゆき(前田愛)の関係性が見事に表現されていて、一度見るともうこの二曲は感情移入せずにはいられなくなります。ご注意を。
 
 


いしだ壱成、そして弁護士役の長さん(いかりや長介)の演技が素晴らしかった!


これは欲しい!