父は建築家（堤真一）、母は校正者（石田ゆり子）。
イケメンな高校生の息子（岡田健史）に、かわいらしくしっかり者の中学生の娘（清原果耶）。
素敵な一軒家に暮らす何不自由のない4人家族のもとに、ある日事件が起きます。
　
息子が無断外泊で帰ってこない。
しかも、一緒にいたと思しき同級生が殺害され、息子は一転、被害者なのか加害者なのかの渦に飲み込まれていきます。
　
どんな形でもいいから、生きていてほしい、母の願い。
たとえ殺されていたとしても、息子は加害者ではないと信じたい、父の想い。
　
完成披露試写にて、堤さんが「心では加害者ではないと信じたくても、体が生きていてほしいと願ってしまう、二分されるような想いに引き裂かれそうだった」とコメントしている通り、父の壮絶な心の機微に、見ていて息が詰まります。
　
　
原作の雫井さんが、これまでで一番苦しんだといわれている本作「望み」は、ニュースで被害者、加害者の家族の気持ちを「わかったつもり」でいた自分の浅はかさを気づかせてくれる、恐ろしいほど「自分事」になる作品です。
　
楽しくて明るい映画もいいけど、こういうどっしりと考えさせられる映画も、思考する能力を与えられし人間の享受できる醍醐味のような気がします。
　
T・ジョイ博多、UCキャナル、UCももちほか、全国ロードショーです。
　
　
　
個人的なハイライトは、中盤で息子の小刀を見つけて嗚咽する堤真一と、終盤の竜雷太。気持ちがわかりすぎてぐわっとキます。

　
『望み』 https://nozomi-movie.jp/
【監督】堤幸彦
【出演】堤真一　石田ゆり子　岡田健史　清原果耶　加藤雅也　市毛良枝　松田翔太　竜雷太　ほか