後藤見聞録

2019/12/19

人は、いつか必ず骨だけになる。

弊社代表の祖父であり、鈴木特殊化工株式会社の会長であった鈴木春夫氏が90の人生を終え、今日は告別式に列席してきました。
約4年前に撮らせてもらったインタビュー動画が、昨夜のお通夜からかなりお役に立ったようで、今朝駆けつけて最初にそのことを聞いて、クリエイティブの仕事をしていてよかった、と感無量。

 
ナップサックひとつで小4で山梨から家出し、東京で戦争を経験。
(弊社からお中元でお届けしているぶどうはこの山梨の実家で作られているものです)
体が小さく飛行機に乗れなかった悔しさもあり、戦後の復興では誰よりも
「何か成し遂げよう」
という想いで生きてきた、と語っていらっしゃいました。
 
そしてその想いはまだビニールのことを「ビニル」と言っていた、というかビニールというものが世に出始めたその先駆けに辿り着き、会長は業界に大きく貢献。

現在の鈴木特殊化工はポリエチレンの製造・加工で様々な技術を駆使し多くのお仕事をされていますが(皆さんが一度は買ったりもらったりされたことがあるであろう、あの東京土産の袋なんかも、です!)、業界団体の長として、中曽根さんのもとに意見書を持参したりと想像以上に業界でのその存在は大きく、「包装界の神様」と呼ばれていました。
焼け野が原から立ち上がり、戦後日本の復興を支えた一人として、会長が残されたものをしみじみ感じる告別式でした。
 
現在、弊社で商品開発をお預かりしているポリ袋の植木鉢「クリエイポット」は、そんな会長が気合を入れて開発した最後の商材です。



商社や問屋を何社も挟む商品としてではなく、ダイレクトに消費者の声を聞きながら育むOEM商品として育てたいということで、弊社で開発をお預かりさせて頂き、少しずつですが芽が出始めています。
 
昔、会長に「スズトクってどんな会社だと思う?」と聞いたら、即答で
「うちは袋を売っているんじゃないよ。アイデアを売っているんだよ」
と言われた日のことを、今日ずっと考えていました。
「アイデアいっぱい、明日の包装をつくる」
という会社の経営理念が、とても本質的で、会長の生き様そのもので、企業様のブランディングをお預かりすることのある後藤としては、これほどしっかり基盤の築かれている会社があるんだ、と目から鱗だったのを覚えています。
(昭和の個性の強い企業って、経営理念とかコピーも独特でおもしろいですよね、まさにそんな会社です)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

朝一の便で飛んで、最終便で戻るという慌ただしいお見送りでしたが、ちゃんとお別れできてよかった。
そして、そんな会長も、最後は骨になってしまった。
たった1時間で、骨だけになってしまった。
みんな、最後は骨だけになる。
そう思えば、なんか大抵のことは乗り越えられるな、と。

また明日から、頑張ろう。
いつか、骨だけになるその日まで。