後藤見聞録

2019/04/26

邦画のアクションはダメだなんて、もう言わせない 6/21全国ロードショー「ザ・ファブル」


江口カン監督のメガホン第三作・「ザ・ファブル」の業務試写に行ってきました。
一足早く観た感想を、ネタバレにならない程度にご紹介します。


原作が大ヒットしていること、ノースタントで日本のトム・クルーズを目指す(いや、勝手にそう思っただけで知らんけど)岡田准一主演、そしてレディー・ガガの主題歌(邦画初提供!)と、何やらフラグ満載なうえ、バイプレイヤーがとにかく豪華、しかもお笑い芸人まで参加ということで、
「ん?アクションなん?コメディなん?」
とふわっとした疑問のまま試写スタート。

攻殻機動隊実写版のオープニングかと見まごうような殺戮シーンに始まり、フランス映画のようなオシャレな音楽。
うん、まだわからない。(笑)でもこの時点で岡田君めっちゃかっちょいい!

本作は6秒以内にターゲットを確実に殺す伝説の殺し屋・通称“ファブル(=寓話)”(岡田准一)が、1年間一般人として「一人も殺さない」ことをボスに命令されるけれども、やっぱり殺し屋なので、事件に巻き込まれてしまいます。さて、岡田君は人間らしい生活と殺し屋の本能、どちらをとるんでしょーか!?というストーリー。
蓋を開けてみると、岡田君の鍛え上げられたアクションシーン、大阪人の血が光るスローモーションなお笑いシーンがリズミカルに展開されるあっという間の123分でした。邦画のアクションって、なんと言いますか「あぁ、これが限界だよね」って思ってしまうこと、ないですか?やっぱりハリウッドの規模には適わない、というか。それが、本作では確実に「あぁ、これ、邦画でアクションを成立させるということに本気で挑んだんだな」と感じました。

知らない人と同じシーンで笑う現象

劇場内で同じシーンで心から笑えるとき、知らない人と同じ気持ちを共有できてちょっと嬉しくなった経験、ありませんか?
後藤のその初体験は「マスク」だったんですが、本作は、試写場で何度もこの「知らない人と同じシーンで笑う現象」が起きます。
しかも、本当にくっだらないシーン(褒めてます)が、シリアスなシーンの間にいい塩梅で入ってくるんです。
あぁもうこれ、しょっぱいものと甘いものを交互に与えられて無限地獄に落ちるパターンだと思いました。

本気のアクションと本物の笑いだからこそ成立する世界

結論、岡田君の本気のアクションと笑いの両方があったからこそ、邦画のアクションの格を上げることに成功したのではないかと思います。

 
で、ここまでだと、なんだよ岡田礼賛かよと思われてしまいそうですが、違うの、ここから書くから!
 

ジャストミートな共演者たち


ファブルを殺して次のレジェンドになりたい殺し屋の福士蒼汰と木村了、出所したばかりの狂犬役・柳楽優弥はもうこの役彼以外には無理って思えるほど狂気じみてます。そして個人的には野心系のインテリヤクザ・向井理のいちいちちょっとチープそうな役柄も観ていてじわじわツボにはまります。インテリ系なので、すごみがちょっと足りないんです。また、安田顕演じる裏社会のナンバー2の渋さ、ナンバー1を演じる光石研のへっぴり腰っぽい会長役、ここまでのブラック系メンバーがしっかりアクションの要素を固めつつ、お笑い担当として宮川大輔、オリラジ藤森、佐藤二朗と脇もがっちり。さらに六角精児とモロ師岡がまたいい味を出しております。
ボス役の佐藤浩市、岡田君の相棒役の木村文乃、ヒロイン役の山本美月がアクションで重要なヒューマニズムを描くキーマン。あー結局ほとんどの出演者書いちゃったけど、結局のところ、ハリウッド・アクションの試金石を真似することなく、邦画の良さと日本人のニーズから汲み上げられた、江口カンオリジナルメソッドを演者さんたちがしっかり描いた作品なのではないかと思いました。
 

実は先週末くらいから原因不明の鼻水地獄で、アレルギーなのか花粉なのか、ただの鼻風邪なのか気合いが足りないだけなのか、まったく謎なままに前日には39度をマークする事態にまで陥っていたのですが、試写後にかなり復活してました。鼻とか気にする暇もないくらい何かに集中するって、意外な効能があるもかもですね~。